シスター
釈然としないままテーブルに着いた。
けれど、そんな疑問も目の前に出されたカレーの香りで打ち消された。
長旅で空腹は極限だったのだから。
「美味しそう!でも普通は引っ越ししたらお蕎麦じゃないの?」
「引っ越す前から“ご近所付き合いはほとんどないところ”って聞かされてたからお蕎麦を用意してなかったのよ」
ふーん。
そうなんだ。
普通、引っ越したらご近所にお蕎麦配るもんね。
さっきお姉ちゃんと探検した時に気づいたけど、他の民家は山を少し降らないと無いみたい。
母親が出来たての野菜サラダをテーブルに並べる。
いつもの色とりどりのテーブルだ。
「お姉ちゃんにも食べさせたいな」
「あ…お腹が空いたら降りて来るわよ!美佳子は気にしないで食べなさい!」
「う、うん」
まただ。
何か、不味い事にでも触れちゃったような両親の表情。
私、何か悪い事言ったのかな?
「でもこーして見ると、中はお洒落な作りだなぁ」
「本当。見た目は古くて不気味だけど中は洋風で素敵ね」
…確かに、父親に言われて辺りを見渡すと
壁は殆ど木製で、天井には綺麗なシャンデリア。
よく考えたら前の家は台所とリビングが離れてて如何にも日本家屋な造りだったけど
今はまるで外国映画みたいな室内だ。
「ねぇ、私の部屋もあるの?」
「あぁ!2階は3部屋もあるみたいだからどれでも好きな部屋を使いなさい」
やった!
リビングでこんなに素敵なんだもん、お部屋も期待出来るかも知れない。
後でお姉ちゃんと相談して決めよっと。
両親の不安そうな顔に気づかず、私はカレーをかきこんだ。