蠱惑な、異名。


「どうだ、綺麗だろう。」










満天の星を見上げるかのような声で、彼が呟いた。






私は足元に広がるネオン星と、鏡ガラスになった窓に映る自分の貧弱な裸体と、深い哀しみの表情を浮かべて佇むあの人を交互に見つめて、そして瞳を閉じた。
やがて彼の指先が私の奥からいやらしい音を引き摺り出し、私は喘ぎ声をはしたなくあげ滴りながら逝った。
私は濡れた床に跪くと、彼を口いっぱいに含んで全てが欲しいとねだった。
彼を悦ばせるにはそれしか思いつかなかった。
彼は私の花に埋めることなく、いつもどんな時でも私の口元へと熱いモノを注ぐだけだった。
それでもよかった。
彼が達することが出来るなら。
私がこうすることが、彼に悦びを与えることの出来る術なのだとそう思っていた。

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