週末の薬指
「遠目から見ても男前だな。……あっちよりずっといい男。よくやった」
相変わらず飄々とした渋沢さんのからかうような声に、視線を移すと。
私の様子に憮然としている悠介。そしてみちるちゃん。
……私に厳しい言葉を投げ捨てた悠介のご両親がいた。
悠介の結婚相手として私を認めてくれなかったご両親は、今も私に無表情な顔を向けている。
お祝いムードのこの場にふさわしくないその様子に、そこまで私は嫌われているのかと感じて落ち込む。
小さな頃から慣れている感情だとはいえ、夏弥によって引き上げられていた毎日がそんな過去を薄くしてくれていたのに、再び切ない思いに縛られそうになる。
そんな私の変化に気付いたのか、視界の隅の夏弥が私の側に駆け寄ろうとした。
けれど、いつのまにか夏弥の隣にいたシュンペーがそれを阻んだ。
小さな声で何かを囁いたシュンペーの言葉に渋々頷いた夏弥は、心配そうな顔で私を見つめて。
小さく頷いた。
「シュンペーも次のプロジェクトに召集されてる。これも極秘な。で、悠介は召集されてない。
これだけでも花緒さんは彼よりも仕事でずっと認められてるってことだ。それに、自分ではどうしようもできない理由で人を選り好みする人間に痛めつけられることはない」
夏弥とシュンペーの様子を見ながら、渋沢さんは力強く呟く。
相変わらず飄々とした渋沢さんのからかうような声に、視線を移すと。
私の様子に憮然としている悠介。そしてみちるちゃん。
……私に厳しい言葉を投げ捨てた悠介のご両親がいた。
悠介の結婚相手として私を認めてくれなかったご両親は、今も私に無表情な顔を向けている。
お祝いムードのこの場にふさわしくないその様子に、そこまで私は嫌われているのかと感じて落ち込む。
小さな頃から慣れている感情だとはいえ、夏弥によって引き上げられていた毎日がそんな過去を薄くしてくれていたのに、再び切ない思いに縛られそうになる。
そんな私の変化に気付いたのか、視界の隅の夏弥が私の側に駆け寄ろうとした。
けれど、いつのまにか夏弥の隣にいたシュンペーがそれを阻んだ。
小さな声で何かを囁いたシュンペーの言葉に渋々頷いた夏弥は、心配そうな顔で私を見つめて。
小さく頷いた。
「シュンペーも次のプロジェクトに召集されてる。これも極秘な。で、悠介は召集されてない。
これだけでも花緒さんは彼よりも仕事でずっと認められてるってことだ。それに、自分ではどうしようもできない理由で人を選り好みする人間に痛めつけられることはない」
夏弥とシュンペーの様子を見ながら、渋沢さんは力強く呟く。