一生忘れられない恋…

馴れ初め

「今日は1人で来てるの?」
と、その人が聞いてきた。

「ううん。友達と…」とキョドりながら答えるアタシ。

「あ、そうなんだ?友達はあっち?」とホールの方を指差すそいつ。
うん。と声に出さずにアタシは頷いた。

「若いねー、いくつなん?」
「18歳…」
「うわっ、マジで!?」

…なんか食い付いてきたぞ。
見た目はそんなに軽そうじゃないんだけどなー、この人。
普通に爽やかそうっつーか、サーファー系?下手したら陸サーファー系っぽい…。

「ってことは、高校生?それとも卒業したばっか?」
「この間、短大に入ったばっかだよ」なんとなく返事してしまう。
つーか、カクテルおごってもらってるし、ちょっと位喋ってもいいか。

「学校どこ?」
うわー、なんでそこまで食いついてくるんだ?と思いながらも答えるわたし。
「N女子短大だけど…」
「えっ!?!?マージで!?スゲーじゃん」あ、また食いついてきた。

でも、実はこの人この時は勘違いしてたんだよね。
あたしの行ってる短大は、某有名お嬢様学校と名前が似てるんだ。
ハッキリ言って、すべてにおいてその学校とは雲泥の差なんだけど。
で、この男はアタシがそこの学生だと勘違いして、めっちゃ食い付いてきた訳だ。

こっちから聞きもしないのに、自分の大学とか年齢とかペラペラ語りだしちゃったよ。
それによると、ヤツは都内の超偏差値の高い国立大学の大学院1年生だった。

あ、でもアタシはその学校がどんだけすごいのかわかんなくてさ。
正直、その学校の名前を知ったのはその時が始めてだった。
東大のちょっと下位のレベルの大学らしい。本人が言ってた。

まぁ、あとから調べたらそれはあながち嘘じゃなかった。
うちの高校からは、学年に1人行けるか行けない位のレベルらしい。
しかも、めちゃくちゃ理系の学校らしいし。
知らなくても、しょうがないじゃん。

でも、そいつ的にはその学校に通ってるって事が自慢だったらしく。
アタシの薄すぎる反応に大いに不満そうだった。

つうか、この時にこんなに学校とか、有名校にこだわる男なんて相手しなきゃ良かった。
しかし、アタシもまだまだ若かった。
ブランドに弱いどころか免疫すらついていない、田舎から出て来たてのヒヨッコちゃんだったからね。
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