【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
…そう思ってるから、今のこのスタイルになったわけだけど。
でも美奈は、俺をこの家に置きたいって思ってるんだよなぁ…。
「…オッサンはさ、俺がここに住んだらどう思う?」
哲の頬っぺたをフニフニとしながら聞いてみる。
「まぁ、目の前にお前が居りゃあ心配事は減るだろうな」
「…別に心配かけるようなことなんてしてねーじゃん」
「酒にタバコに喧嘩、色々あるじゃん」
「…タバコなんか吸ってないし、喧嘩だって最近はしてないよ」
タバコは真由に言われた時に辞めたし、喧嘩だってそう。
真由に心配かけたくないし、不安にさせたくない。
だからもう俺は、喧嘩なんかしない。
…まぁ、大雅や健吾とはしょっちゅう殴り合ったりするけど。
でも怪我するようなもんじゃなくて、遊びで叩き合う感じだからオッケー。…かな?
「タバコも喧嘩もしないけど、酒は飲んでるんだ?」
「…まぁ、ほどほどに」
…夏休みに入ってからほぼ毎日晩酌してるわけだが。
なんとなく、それは黙っておこう。
「未成年が“ほどほど”とか言ってること自体おかしいだろ」
と、けらけら笑う直人さん。
だけど咎(とが)めることはなく、何故だか凄く楽しそう。
「哲が寝たら、4人で飲むかー」
「…4人?」
「俺と美奈と、お前とお前の親父さん。
龍輝がまだ小さかった頃な、先輩はずっと“アイツが大きくなったら一緒に飲みたい”って言ってたんだよ」
…親父、そんなこと言ってたのか。
「お前はまだ二十歳じゃねぇけど、久々にみんな集まったんだから今日は飲むぞー」
「…そうだね」
凄く嬉しそうに笑う直人さん。
その顔を見つつ、そっと小さく笑って髪の毛をかき上げた。