【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
……。
美奈から受け取った荷物を部屋に運び、その後…仏間へと向かう。
ここは直人さんの家だけど、ここには親父が居る。
直人さんは親父を本当の兄のように想い、そして美奈も、今でも親父を大切に想ってくれている。
…マジで、良い人たちだ。
「…親父、ただいま」
写真の中で笑う親父…――笠井 大和(カサイ ヒロカズ)。
年齢より若く見える爽やか笑顔。
美奈は「この笑顔が一番好き」って言っていたっけ。
それと同時に、「龍輝は大和さんソックリ」とも言っていた。
自分ではよくわからないけれど、俺は親父似らしい。
…まぁ、母親に似るよりはよかったかな。
「…親父はさ、俺がここに住んだら嬉しい?」
なんとなく問いかけてみるけれど、当然返事は無くて。
写真の中の親父はいつもと変わらない顔で笑ってる。
「……俺はさ、美奈たちの邪魔したくねぇんだよ。
一緒に住んでなくたって、家族は家族だろ?」
…そう思ってんだけど、でも…。
「…美奈や直人さんの顔見てると、“一緒に居ることも大事なのかな?”って気もする」
……頭ん中ぐちゃぐちゃで、よくわかんねぇや。
大雅たちとバカやりながら飲む酒は美味いけど、でもきっと、それ以上のモノがここにあるんだよな…。
「…親父、俺はどうすればいい?」
ここに住むつもりはない。と、家に上がる前は思ってた。
けど、直人さんと話をしていたら…、“親父”と過ごしたいって風に思った。
「…マジで、わかんねぇや」
これからどうなっていくんだろう?
いや…、俺はどうなっていきたいんだろう?
…答えは見つからないまま、ただただ、写真の中の親父を見つめ続けた。