略奪愛の結末
飛勇を抱きしめる回数がいつもより多い以外は
マリは驚くほどいつもと変わらなく見えた。

多分 飛勇の前ではって
気を張っているんだと思った。

「飛勇はいい子だね。優しくて思いやりがあって
本当にママの子に産まれてきてくれてありがとう。」

飛勇は気をよくして

「飛勇がサッカー選手になったら
パパとママいっぱい旅行に連れて行ってあげる。」

そう満面の笑顔で宣言した。

「パパ どこにいく?」
マリから急に話をふられて

「そうだな~タヒチかな・・・・。」
と慌てて言葉を返した。


「タヒチ?どんなところ?」飛勇が目を輝かせる。

「海がさ めっちゃ綺麗なんだって
で ホテルがね 海の上に立ってるんだよ。
ホテルのドアを開けたら海でさ そのまま飛び込めるんだ。」

「うわ~~!!」

「ママもそこがいい!!
飛勇頼むね。ママ頑張るからね。」

「飛勇も頑張る!!」

マリが飛勇を抱きしめた。

「飛勇…飛勇…大好きだよ。」

「ママ 飛勇 もう赤ちゃんじゃないんだよぉ~」

そう言いながらも嬉しそうな飛勇。

マリの体が震えている。

胸が締め付けられるようだった。
まだまだ長い人生のはず………。


命の期限が宣告された夜

俺は初めて自分からマリを誘った。
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