略奪愛の結末
マリは俺が考えていた以上にしっかりしていて
俺の方が混乱していた。

先生が言ったように
治療していくしかないから

マリはそう言った。

飛勇を預けていた友達の家に迎えに行った。

マリはいつもと変わらない笑顔で
ママ友と話をして

別れがたく友達と遊ぶ飛勇を
優しいまなざしで見つめていた。

「あれ?パパ?」

ママ友が俺に気づいて ニコニコして
近づいてきた。

「お世話になってま~す。
浅野 誠の母です。」

俺は必死に笑顔を作って

「お世話になってます。」

「うわ~噂通りのイケメンパパですね。
飛勇ママうらやましいわ~。」

「噂って……?」

マリを見ると くすくす笑っている。

さっきあんな宣告を受けた後なのに マリは
いつもと変わらない笑顔で立っていた。

「あのね~今日ね~」

車の中で飛勇が今日遊んだことを
マリに報告していた。

「そうだったんだ~よかったね~。」

二人のやりとりを見ながら 
視界がぼやけてきた。

今まで俺は何も見ていなかったんだって・・・・
マリが飛勇をどれだけ愛しているか

今まで二人が築いてきた絆を感じずにはいられなかった。


マリがいなくなる


今までとは全く違う感情が俺の中に芽生えていた。
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