に じ い ろ~Rainbow Days~
「…帰るに決まってんじゃん」
ぷい、とそっぽを向くと、少し強くなった雨模様の空が目に入った。
「なんで?」
…早く帰りたいのに。
ため息を吐きたい衝動を抑えて、窓の外を指さした。
「雨、降ってるから」
それだけ言って、再び歩き出す。
これだけつっけんどんな態度とってるのに、どうして話しかけてほしくないのだと気づかないんだろう。
「なんで雨降ってると帰るの?」
…ここまでくると、いらだちを通り越して呆れる。
はあ、と大きなため息を吐いて振り返り、思いきり彼女を睨みつけた。
「傘忘れたから
それと、うざいから話しかけないで」
くるりと踵を返す。
もう前沢未来が話しかけてくることは無かった。