に じ い ろ~Rainbow Days~
「ご、ごめんね上原さん!
声かけてるの聞こえてないみたいだったから…つい」
体勢を立て直して振り向くと、申し訳なさそうに頬をかく女の子。
見たことある…気がする。
同じクラスだったかな。
「…何か用?」
わざとらしく機嫌の悪い声を出してみても、彼女はなにも動じずに私に笑顔を向けた。
「いや、えっと…まだ学校終わってないのにどこ行くのかなって」
ああ、思い出した。
そういえば隣の席じゃん、この人。
前沢未来、だったかな。
『未来』だなんて、ずいぶん希望に満ちた名前だなと思ったのを覚えている。
…ヒカリ、なんて名前の私が言えたことじゃないけど。