海宝堂〜海の皇女〜
「シーファ…どうした?」


「……行きたいよ……最後まで迷った……の……


この…国と……旅と……片方なんて………選べな……かった………」



シーファの声が小さく、細くなっていく。


「………シーファ?」


ガルが顔を見ようとしても、シーファはガルの肩に顔を埋めたまま、離れない。


「………両方…なんて……欲張った…から……これしか…出来なかった………」


「シーファ…?
みんな、無事だ。
それで十分だろ?」



「……うん……みんな…無事で…良かった……」



シーファの言葉を誰もが理解出来ないでいた。

しかし、シーファの体がガルから離れた時、やっと理解できた。
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