海宝堂〜海の皇女〜
「ガルっ!」

ニーナが声をあげる。

シーファとガルの体の間から、真っ赤な血が流れ落ちていた。


その場にいた全員の血の気が引いた。


「シーファっ!?」

ガルが名前を呼ぶ。

シーファはとても優しく、そして、悲しそうに…笑った。



「……ごめん…ね…
一緒…には…行けそうも…ないね…………」


「!ダメだっ!今、医者をっ!」

アリアが駆け寄り、シーファの手を取る。



「……ガル…リュート…ニーナ……旅…続けてね……お宝…たくさん…見つけ…て…」

シーファの手がガルの頬に伸びる。

「ああ!お前も、シーファも一緒だ!

……おいっ!おいっ!!」

ガルはシーファの顔を手で叩く。



「……そう……だね……一緒に……行き…たい…なぁ…………………。」

シーファの手が力なく頬から滑り落ちた…。
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