海宝堂〜海の皇女〜
光のカーテンの向こうに浮かぶ、シーファの体。

カーテンを抜けた3人は、シーファに近づくとその顔を見つめた。

ガルが手を伸ばし、頬に触れる。

その指先に暖かさを感じた。

「シーファ!」

シーファの肩を掴む。

どこからか、声が聞こえた。

『この娘、そなた達に返そう。』


ガルはシーファを抱き締めた。

ガルの腕の中でゆっくりとシーファの目が開く。

「………あれ?」

「シーファ!」

「やぁぁぁぁぁっっったあああああっっ!!!」


「……え?なんで……?
私……どうして?」

シーファは目をパチパチさせる。

リュートとニーナは踊り出しそうなくらいに喜んでいた。
いや、踊り出していた。

ガルはぎゅうっとシーファを抱き締めた。

「…えぇ?ちょ…ガル…苦しい…」

シーファが腕の中で暴れる。そんなことすら嬉しかった。

失わなくてすんだ。
無くさないですんだ。

その体温が安心をくれた。

リュートとニーナがニヤニヤと笑う。
シーファは流石に恥ずかしくなって、じたばたと暴れた。

ガルはそれでやっと2人の視線に気付き、シーファを離したのだった。

「別に、離れなくても良かったのに〜」

「リュート!てめぇっ!」

リュートを追いかけるガルを笑いながら見ているシーファをニーナが小突いた。

「…一人で勝手に突っ走らないでって言ったでしょ?」

「あ、ごめん。」

シーファとニーナは二人で笑った。
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