海宝堂〜海の皇女〜
トライデントに導かれ、ガル達は、海の中を泳いでいた。

といっても、自分で泳いでは息がもたないし、速くもない。

トライデントの力で引っ張って貰っていた。

後ろには、セイドとアリアもついてくる。


トライデントが向かった先は、最初に訪れた海、クチミチスイ村付近の海だった。

『この下だ。』

トライデントは大きな岩の下にみんなを導いた。

全く隠れて外からは見えないその場所に、薄いカーテンのような光が丸く壁を作っていた。

トライデントはガル達をカーテンの外に留めると、シーファのみを連れて、カーテンの内側へと姿を消した。

『ここはそなた達が、やって来た神殿の真下に位置する聖域。
試練を与えられし者にしか入ることは叶わぬ場所。』
トライデントの声が響き渡る。
言葉の通り、生き物は何一つ見当たらない。
死の世界のような海の底、3人はただ前だけを見ていた。


『その場所から、こちら側へとその光を越えてやってくるといい。
こちら側へと来ることができたなら、娘を返そう。』

ガルがすでに進もうとする。


『しかし、そなた達の想いに少しの迷いがあったならば、そなた達の体は泡と消える。』


言葉が終わるか終わらぬか分からない内に3人は前へと進み、カーテンの内側へと入っていった。
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