魔王と妃
そろそろ我々はお暇するよ

そう発したのは黙って話を聞いていたルシファーであった


「しかしゼブルよ。エミのことは星神も気にしていた――
油断して逃げられないように気を付けておくといい。
大切なのであればな」


そのように発し、自らの妃の肩を抱き己のマントのなかに引き入れると
静かに歩き出した――


その言葉の真意を考えているとベリトの声がした

「お見送りはよろしいのですか?」


なぜかルシファーの言葉にいらだちを覚えたゼブルは
ベリトの問いに答えず

すり寄ってくる女たちを振り払い

歩き出した――



目的地は決まっていた

彼を楽しませる

大切な大切な玩具のいる部屋へ――


しかし彼は気づいていなかった

その大切な玩具が

大魔王ルシファーによって

すでに

鳥かごから放たれていたことを――
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