魔王と妃

逃走

エミがいなくなった
僕のそばからいなくなったのだ



部屋の外には倒れた悪魔数匹と
彼女の首輪としてつけていたチョーカーが落ちていた



これが外れたということは
ある程度力のある悪魔が手を貸したということだ



彼女につけていた首輪には結界としての役割もあり

この城から勝手に出ようとすれば瀕死になってしまうほどの電流が流れるようになっている


チリン…とチョーカーについていた鈴が鳴る


逃がすものか…

あれは僕の女だ

絶対に連れ帰って…

もう絶対に逃げられないようにしよう



エミの部屋にある寝台に寝そべって彼女の香りを感じながら
魔王ゼブルは歪んだ笑みを浮かべていたのだった
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