狼彼氏に甘いキスを


 あれはあたしが熱があったからかぁ。



「ま、もういつも通りの熱さだから大丈夫?」



 お前のキスは温度計か。


 思わずつっこみたくなる。

 身体が楽なのは事実なので素直に頷く。


「大丈夫」

「なら、よかった」


 ホッとした顔に胸がキュンと音をたてる。



 心配してくれてたんだ…。



 意地悪で、キス魔のくせに不意討ちで優しくしてくる。


 あたしがそれにどれだけドキドキしてるか知らないでしょう?


「豊岡くん」

 小さく呼ぶと豊岡くんがあたしを見る。



「好き」



 そう囁いた途端、豊岡くんの顔が赤く染まった。

 こっちも不意討ちが苦手だったらしい。



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