デュッセルドルフの針金師たち後編

ハメルンの町

その頃石松はデュッセル、エッセン、ケルンと売り歩いていた。
日本人がやたらと増えてマナーも悪くなったと嘆いている。
縁日は日本へ帰ったそうだ。石松はこの秋にはミュンヘンで

やるといっていた。オリンピックだ大挙してヒッピー達がやっ
てくるらしい。オサムはピストルに懲りて逆にその頃は、北に
いることにした。しばらくはデュッセル近辺を探ってみよう。

ハーゲン、デューイスブルク、ドルトムント、ボン、アーヘン、
ヴッパタル、ハメルン。徹底的にまわる。ハーゲンの地下道で
獣医と出くわした。ここでやってたのか!たしかに、夜だけの

デュッセルでやらなくてもドイツ各地の小都市ではどこでも売
れそうだ。ポリスには気をつけなければいけないが、通報さえ
されなければほとんどフリーだ。いい町を探し出すことに尽きる。

ウエストファーレン州から北方ドイツニーダーザクセン州に入る。
ブレーメン、ハノーバー、ハンブルク。そしてあのポンコツ車
を買ったリューベック。このあたりは工業地帯で町はごみっぽく

人々も気ぜわしい。少し方向を変えてブレーメンからメルヘン
街道にはいる。その中でもハメルンの町はとても心が和むのだ。
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