デュッセルドルフの針金師たち後編

これで最後だ!

さあ、最後の最後だ。フランクフルトで山男とひょうきんを下ろし、
シュトットガルトでボンボンと映画俳優を下ろす。
とにかくこの2週間無事終わってくれ。オサムとマメタンは

その足で思い切ってフルダに向かった。予想どうりだ三日間
すごい売れ行きだ。バイロイト地下道2日間。ニュルンベルク
2日間、その夜移動してミュンヘンのユースに入る。オオツキから

『追加頼む。不足間違いなし』・・・・返事を速達で出す。
『もう間に合わん。獣医から5マルクで分けてもらえ』

翌朝早く東へ、ドナウ川沿いの古都パッソウへ向かう。次の日、
南下してローゼンハイム、さらに西へケンプテン。いずれも虎の子
の小都市だ。もう昼も夜もなんだか分からなくなってきた。

毎晩バタンキュー、目が覚めるとここはどこ私は誰の朝が続いた。
あと二日だ。思わず夜中に”ナムミョーホーレンゲキョー”と
叫んでいた。そのまま眠り込む。もうどうでもいい。

いよいよ明日クリスマスイブ、ラストだ。商品1箱も残りそうにない。
思えば去年は血染めのクリスマスだった、あれから1年か。ヨーロッパ
最後のクリスマスイブはバイエルンの小都市ケンプテン。もうくたくただ。
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