デュッセルドルフの針金師たち後編
そしてついにイブも終わった。もういいもういい。どうか皆無事で明日
デュッセルへ戻ってきてくれーっ。バタンキュー。翌日昼までひたすら眠る。

12月25日昼過ぎ、ボーっとしながらデュッセルへ向かう。ダンボールに
マルク札がびっしりだ。見る気も数える気もしない。夕方6時にデュッセル
に着いた。もう皆集まっていた。

「いやいや皆、ごくろうさん。それでは一人ずつ清算しようか」

各々、この2週間でさらに1000ドル以上を稼いでいた。この12月で
総売上は1200万円を超えオサムとマメタンの手取りは700万だった。
よくやった皆後は元気にまた旅を続けてくれ。イスラエル、映画俳優、山男、

ひょうきんの4人とここで握手して元気一杯別れた。あとにまた、オサム、
マメタン、オオツキ、オガワ、ボンボンが残った。オサムが、

「さあ、結婚式の準備や。ロンドンに花嫁衣裳を買いに行こう!」
「おお、そうやそうや、明日わしの車でみんなでいこう!」
カルマンギアのオオツキが言った。と、ボンボンが、

「ロンドンで残ったケッテ売ろうか?」
すかさずオガワが低音で、
「そうだね、やってみようか?」

もう、ゆとりの針金師たちであった。
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