怪談短編集


 私と女の子の影に、角が生えていた。

 細くて小さな、絵本でよく見かける鬼の、角。

 何で…?

 そのとき、私は思い出した。

—かくれんぼ、しよう。

 そうか。

 そういうことだったんだ。

 私と、この女の子は鬼なんだ。

 かくれんぼの、鬼なんだ。

 でも、それがわかったところで、何をすればいい?

 どうすれば、皆に会える?

 この女の子を母親に会わせてやれる?





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