怪談短編集



 母は、きれい好きで、部屋をいつもきれいにしておきたがる。少しでも散らかると、怒られる。

 まあ、僕の部屋は散らかり過ぎで、怒りを通り越して呆れちゃったらしいけどね。


 僕の部屋にだけ掃除機をかけたがらないのも、散らかり過ぎが問題なんだと思う。

 だから、じぶんで部屋に掃除機をかけるよう言われている。



 もっとも、掃除機をかけたことはあまり、ないけどね…?

「着いたわ」


 母が、グローブを外しながら。母は、運転するときにグローブをはめる癖がある。


 僕の家は、団地の一番広い所にある。

 小さな門をくぐって、敷地に入り、母が玄関の鍵を開ける。

 そして、何を思ったか、

「ね、そのオウムだけれど。ガレージの中で飼わない?」


 父に言った。


「さすがに、それは可哀想だよ」


 父が、母をなだめる。






< 146 / 195 >

この作品をシェア

pagetop