怪談短編集
「なんで、同じ人間がサイン入れてんだろな」
「この一枚目の奴が著名人でさ、そのまねしてるやつが二枚目や三枚目の奴らなんじゃねぇの?」
ジャスティンは言ってから、壁剥がしを始める。
僕は曖昧に頷いた。けど、本当は、それは違うって言いたかったんだ。
だって、いくらまねをしたって、筆使いまで、まねできないはずじゃないか。
それに、絵の中にいる少年や少女の表情だって、いくらまねしたって、こんなリアルな顔をまねできるのだろうか?
この、本物みたいに恐怖でゆがんだ顔を。