神様、僕の初恋に栄光を。
始まりの病室。
「優。ここが今日から お世話になる病院だよ」


とある青年が飛び降りた一週間後、とある少女が
この病院に移転してきた。


それが私、朝岡 優。


私はもう治らないかもしれない病気をわずらっていた。
そのため、私は心から笑うことができなくなっていた。


原因不明の病の私はあちこちの病院でたらい回しにされ、
だんだん目から光が失せていった。


もはや「生きたい」とも思わない。


暗い瞳に茶色の髪の私は、私の父親に手を引かれ、
新たな病院にやってきた。



「・・・・・・・」

「同じ病室の隣のベットの子、優の1つ年上なんだって。仲良くなれるといいわね」


いつまでもだんまりを続けている私に、母親は元気づけるように
話し掛けた。


ああ「・・・1つ年上・・・・・・」



なら話は合うかな、と私は少し顔をあげる。
しかし、そのあとの母親の言葉で、絶望をあじわった。


「そうそう。それも大空高校の・・・」

「・・・!その名前ださないで・・・!!」


・・・よりによって同じ学校・・・。
私はその学校の名前を聞いたとき、大きな拒絶反応を起こした。


同じ学校、というのは少し違う。
その人は、同じ学校に『なるはずだった』人。


学校でいじめられたわけじゃない。

学校でつらいことがあったんじゃない。



私は生まれつきこの病気で、
学校にいけなかった。


だからこそ、同じ学校の人は嫌だった。
きっとその人はすぐに退院できるような人。


そう思うと、激しい憎悪が体を蝕んでいった。


「・・・私、そんな人と絶対仲良くなんかしない。」



私は重たい足を引きずり、家族と一緒に病室に向かった。


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