なりすまし
案の定書き込まれたりはしておらず、美しい和歌が活字印刷されているだけだった。


暫く眺めていると、脩からの返信があった。


「誰宛?」


俺は声に出して読んでいた。

一体どういうことだろう。


あぁ、誰に送られたかということか。

俺は深山光希という名前を一応、振り仮名付きで送ってやった。

まぁ、余計なことをしなくてもあいつは読めるだろうが。


しかし、あいつがこんなことを聞いてきたということは、それも着眼点の一つなのだろうか。


確かによく考えたらおかしな話だな。

吉井の一番の友達といえば、光希よりも先に慶太の名前が挙がるはずだ。


俺は暗くなった携帯の画面に映る自分とにらめっこしながら暫く考えた。

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