俺様彼氏の甘い罠




「 式が終わったらそのまま玄関前だぞ。
  ここにはもう戻って来るなよ 」


「 え~ 」


「 え~、じゃないだろ。
  荷物持って早く行け!
  後で記念撮影あるし
  泣くなよ、絶対 」




既に泣いている子の頭を
出席簿で叩いて、”泣き止め”って
笑う先生は、もう見れない。




学校で隠れて話すことも、
書庫で隠れて会うことも、
人目を気にして話すことも、




もう全部、できないんだ。




「 あー、澪泣きそう!! 」


「 どうしよう~・・ッ 」


「 こそっと泣いちゃえば? 」


「 う・・・・ッ 」




泣き出すと絶対に止まらない。
だから我慢しないと、って
分かってるのに、思い出が
溢れ出して来て涙を誘う。




目元を制服の裾で押さえて
だめ、だめって我慢してたら
こつん、と頭を小突かれた。




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