俺様彼氏の甘い罠




「 泣くなって言っただろ、澪 」




苦笑しながらそう言われて
目元に溜まっていた涙を
今度は自分で拭って顔を上げた。




「 まだ、泣いてないです! 」


「 ふーん? 」


「 ・・・・・ッ 」


「 ほら、また泣きそうになってる 」




結花ちゃんは先生に気付いて
すぐに出て行ったらしく、
教室には私と先生だけだった。




「 泣くなよ、絶対 」


「 ・・・・・ 」


「 返事は? 」


「 ・・・努力、します・・・ 」




ははっ、と先生の乾いた笑い声が
響き渡って、じゃあ行くかって
教室を出ようとドアを開けた
先生が振り返った。




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