俺様彼氏の甘い罠




「 澪!こっち! 」


「 ・・・あ、うん! 」




ほとんどの生徒が座っている中
自分の席を探していたら
結花ちゃんが私に気付いてくれた。




「 この後、会うんでしょ? 」


「 へ? 」


「 記念撮影まで10分はあるし
  行っておいでよ?最後なんだし 」


「 ・・・・う、ん・・・ 」




最後っていう言葉はなんだかずるい。
自然と涙を誘われる、っていうか
それこそ今日しか使えない単語な気がして
また泣きそうになってしまった。




「 泣くのだめなんでしょ?
  堪えて堪えて! 」


「 ッ・・・・うん! 」




そんなやり取りを何度か続けているうちに
卒業式が始まって、練習では長くて長くて
仕方なかったのに、本番になると
あっという間に式は終わってしまった。




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