俺様彼氏の甘い罠




「 じゃあ、先に行ってるね 」


「 ごめんね、結花ちゃん 」


「 なに謝ってるの?
  早く行っておいで! 」




泣きじゃくる生徒の中を
すり抜けて走って、走って。




まだ先生は体育館に居るかも
しれない、なんて考えは
いつの間にかなくなっていた。




みんな泣いてるのに
私は泣かなかったな・・・




第2校舎に入って、窓から見えた
泣きながら抱き合う生徒に
きゅっと拳を握った。




・・・・最後じゃ、ない・・・・




卒業したって結花ちゃんと会うし、
先生とは絶対に離れない。




卒業するだけで、何も変わらない。




本当は今すぐにでも泣きたくて
仕方ない。
けど、先生に言われたから
まだ泣かない。




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