俺様彼氏の甘い罠
・・・・なんて、できないよね。
「 ・・・澪 」
「 ん? 」
無意識に口から零れそうになる
溜息を押し込むようにジュースを
一気に飲み干すと、結花ちゃんが
廊下を指差して私を呼んだ。
少し開いたドアの隙間から見える
廊下は人でいっぱいで、
相変わらず教室の前はお客さんが
列を作って並んでいた。
「 人、いっぱいだね・・・ 」
ボソッと呟けば、
”違う”と言われて
首を傾げながら再度結花ちゃんの
視線の先を追っていく。
「 ─────────・・会長 」
「 やっぱり・・・会長だよね 」
結花ちゃんの視線の先に居たのは
教室の中を眺める会長だった。
綺麗な顔をしているのに、
眉間にシワを寄せているから
声が掛け辛い。