妖狐の姫君
「チカゲさんですか」
「気安く人の名を呼ぶな。育ちの悪い娘が」
「育ちの悪いって……」
「ふん。教育が足りんな」
色鮮やかな羽織が目に移る。
綺麗だ。
「お前に1つ聞きたい事がある」
「はい」
「どこから来た」
逆にここは何処だ?
と言いたい。自分がいたとこは一体どう説明すればいいんだろう。
前世?はたや来世?
「自分もわかりません。知らない男に連れてこられたので」
「ほう。知らない男にねぇ」
口元を緩ませてる彼はバッと扇を広げた。
「ならお前はその知らぬ男に連れてこられてここに意味もわからずいるというわけか」
「そうなんです!」
「ほう。それで、お前はこの後どうするつもりだ?」