風味絶佳～嘘からはじまる２人の関係～

私は彼女の言葉を黙って待った。

そして、出た答えは

「それ、不可能なんじゃない？」


ガックリ。

考えた末の結論がそれ？？

ちょっと期待してたのに・・・。

「だって、その彼のこと、薫は既に意識しちゃってるじゃない？
後はもう時間の問題。何れ薫はその彼のこと、好きになるしかない。」

「だから、それを止めたいの！」

「そんなの無理。
そんなこと考える暇あるんだったら、相手に好意をもって貰うよう、自分を磨く努力をする方がよっぽど現実的だと思うけど。」

いやいや、だからね

「そんなことしたって無理なんだってば。
だって初めに言われたんだよ、私の事好きになることはないって。」

私は美雪みたいにポジティブな考え方、できないんだから。

「そんなの分からないじゃない。
大体その格好は何？会社以外ではそんな格好しないくせに、黒縁の伊達眼鏡までして。
そもそも薫、眼悪くないでしょ！？」

「これは私の仕事着なの。
会社は仕事をする所で、恋愛する所じゃないんだから着飾る必要ないでしょ！？
私は女だからって、特別扱いされたくないの！！」

「薫は難く考え過ぎよ。
仕事だって同期の男共より全然できるくせに。
もっと自身持って良いんだから。
だから、堂々としてなさいよ！！
そういう薫見てると、時々苛々する。」