風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
私は彼の腕の中でもがいた。

だけど、全然ビクともしない。

「悪いが、どんなに暴れても放すつもりはない。」

「やだ!降ろして下さい。・・・皆みてる。」

私は尚ももがいた。

精一杯。

「それが嫌だったら大人しくしてくれ。
それともこの状態で、ずっとこの場にいるか?」


この人、何言ってるの!?


「・・・・・・降ろしてよ。」

急に動いたせいで、急激にお酒の酔いが回る。

だんだん彼に立ち向かう気力が無くなっていくのが自分でもわかった。

それでも無駄だと判っているけど、少しでも皆から見えないように彼の胸にうずくまる。


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