風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
もうやだ・・・・・・。

私、すごく嫌な女になってる。

このズキズキする痛みは一体何なの?

頭の中グチャグチャだよ。


気が付くと、また泣いていた。

こんなに私、泣き虫じゃなかったのに。

必死に彼に聞こえないよう、嗚咽を押し殺す。

だけど、ウィンカーの音が時折聞こえるだけの静かな車内では到底それは不可能で。


「おい、大丈夫か?具合悪いのか?」

静寂を破り、彼はそう言って心配そうに私の髪に触れた。

それだけで、私の心臓は波を打つ。

苦しくて、切なくて・・・だけど胸が熱くて。

こんなこと、初めて・・・。

私、どうしちゃったの??


「大丈夫です。だから・・・私に・・・構わ・・・ないで。」

私は窓の外を向いたまま、精一杯強がった。

「・・・・・・・。」

彼からの返答は何もない。


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