アイの愛
さようなら… またね…
次の日の朝
陣痛を起こす薬を飲んでいよいよ赤ちゃんを出すことになった

どんどんお腹が痛くなってきた

私は看護婦さんを呼んだ

「まだまだ痛くなるからね。大丈夫?頑張って」

私はベッドの柵を
ギュッと握りしめた

「あんまり握ると手が固まって開かなくなるから痛かったらゆっくり息をして」

看護婦さんの言われた通りやった

すると
わたしの下の方から
暖かい物が
出てきた…

すごく暖かかった…

痛みが消えた

看護婦さんが「何か出た感じがする?」と聞いてきた

私はうなずいた

そのままベッドからおり分娩台へ移動した

初めて座る分娩台

少し座っていると
ドロドロドロっと
暖かいいものが出た

「午前9時52分、出産です」と
看護婦さんが小さな声で言ったのが聞こえた

その直後先生が来て
処置が終わり
しばらく分娩台に横になっていると
看護婦さんが
「赤ちゃん見る?」と聞いてきた

会いたかった…

人目でも顔が見たかった…

私はうなずいた

看護婦さんは顔をゆがめた

「辛いよ」
「見ないほうが…」

きっと見ても見なくても辛さは変わらない…

看護婦さんの言うように見るのをやめた

ごめんね…

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