黒姫
「あ……ありがとうございます。ちょっと見られるのが恥ずかしいので、服だけ受け取っても良いですか?」
相手から見えないように、扉にピタッとくっつき言ってみる。
いくら女の人でも、知らない人に裸を見られるのは恥ずかしい。
そんな思いで言った言葉に、外の女の人はクスクスと笑う。
「かしこまりました。では、この隙間からお召し物を入れますね。先程まてお召しになっていた服は、そのまま置いていてください。」
笑われた事に顔が熱くなる。
けど、悪意がある笑い方じゃないのは分かる。
そっと隙間から差し出された服を受け取り、外の女の人に「ありがとう」と伝え、扉を閉めた。
受け取った服は、白いワンピースと下着だった。
制服と共に、まだ乾いていない下着は着れない状態だったのでとても助かる。
けど、下着を借りるって…。
(帰ったら下着の代金を渡そう。洗って返すのもあれだし…。)
きっとこれらは、あの女の人の物だと思う。
申し訳ない気持ちでいっぱいになるも、受け取った服を着始めた。
「………こんな感じかな?」
借りた白のワンピースの生地は少し厚みがあり、袖が無いノースリーブタイプだった。
足首まであるワンピースの丈。
ちょっとマキシ風な感じ。
そして、髪を乾かそうとドライヤーを探してみたが無かった。
とりあえず、濡れた状態でも髪を整えようと鏡を見る。
「あ……。」
鏡にうつった自分にビックリした。
正確には、私の首もとにくっきりとうつる痣を見てビックリした。
その痣は指の形をしていて、黒紫色に変色している。
(公園で殺されそうになった時だ…。)
首もとに広がっている痣を見て、自分の体温が急激に下がってくるのが分かる。
体も少しカタカタ震えてきた。
思い出すと……怖い。
震える指でそっと痣をなぞる。
痛みは無かった。
コンコン……。
ビクッ!!
控え目なノックの音が聞こえてきた。
ビックリしたけど、その音のお陰で一気に現実へと戻される。