パステルカラーの恋模様 2

「泣いて喜んだ。手を出したら、ちっちゃな手で俺の手を握るんだよ。本当に可愛くてな。その時、俺は決めたんだ。何があっても美園を幸せにするって」


お父さんが右手をグーにしたり、パーにしたりを繰り返した。

なぜか目の奥がじんと熱くなる。


「美園がお前といて幸せなら、文句は言わん」


私たちはパッと顔を見合わせた。

でもすぐに「ただし!」と、お父さんが遮る。


「絶対に泣かせるなよ!責任持って、美園のこと幸せにしなかったら、ただじゃおかんんからな!」


心のもやが一気に晴れた。


「ありがとう、お父さん!よかったね、啓ちゃん!」

「あっあでぃがどうございまず~!」


でーっ!

啓ちゃん泣いてるし!


私は啓ちゃんの背中をさする。

啓ちゃんは子供みたいに、右手をぐーにして、目に当てている。


「ちょ、大丈夫?」

「いい話だなって……。そでに嬉じぐで」


私は思わず、ふっと笑ってしまった。

啓ちゃんの前に何かがすっと差し出された。


お父さんが啓ちゃんにティッシュを差し出したのだ。


「言ってる傍から女々しい男だな!しっかりせい!」

「はっはひ…っ!」


みんなが笑い出した。

あぁ、今ものすごく微笑ましい光景。


お父さんは、ばしばししごいたる!とか言いながら、啓ちゃんの背中を
ばしばし叩いた。

よく見たら、お父さん笑ってた。

啓ちゃんも嬉しそうに返事をしている。


よかった。

本当によかったね。




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