君色Diary
「……おはよー……」



タンタンと階段を下りていって、リビングへと行く。

幸い、今日は土曜日で。

昨日のことで気まずかったあたしは、そのことに感謝しながら、ストンとソファーに座る。



「あ、七海、おはよ」


「海斗お兄ちゃん……おはよ」



すると、顔を洗っていたのか、前髪をピンで留めたままのお兄ちゃんがリビングへと顔を出して。

あたしを見ると、ニコッと笑った。

でもそれに、あたしは曖昧な笑顔しか返せなくて。


せっかくお兄ちゃんが応援してくれて……。

あたしのこと、心配して買ってくれた髪留めなのに……。

昨日は全然、頑張れなかったなんて……。


お兄ちゃんの言葉に決意を改めて、それを忘れないようにと、大事にしていた髪留め。

なのに結果は散々で、仕舞いには逃げてきてしまって。

あたしはただただ申し訳なくて、そのことをなかなかお兄ちゃんに言えずにいた。



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