君色Diary
「なっ……え、えぇっ!?い、いきなり、何言って……!」



あたしは一気に頬を染めると、少し開いたドアのすぐ近くにいるということも忘れ、思わず大きな声を出す。

すると、体育館の方にも声が聞こえたのか、一瞬静まり返って。


や……ヤバイッ……!


あたしはハッとすると、静かにドアを閉めた。



「陽向くんってば、いきなり何言ってるの!大声出しちゃったじゃんか!」


「いやー、だって、ななみんってば、あまりにも熱心に空のこと見てるからさ。ってか、ドア閉めたら、外見れねぇけど……」



バッと振り返って陽向くんを見れば、楽しそうに笑いながら、ドアを指差される。

それに再び視線を移せば、ドアはきっちりと閉まっていて。



「このドア、内側から開けると、すごい音するんだよなー……。だから、もう一回開けるとなると、確実に空にバレる……」


「あ……あぁぁ……」



せっかく空くんを見て、話しかけるための心の準備、してたのに……。

これじゃ、準備もできないし、まず、空くんが体育館にいることすらわからないよ……!?



思わずガクッと落とした肩。

それに対して、陽向くんはクスクスと笑うと、また、ちょいちょいと手招きをして。


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