転校生は憧れの人
「そうだったんだ! ごめんね、大丈夫だった? 私も一緒に行ってれば……」
「う、ううん! 怜佑がすぐに追いやってくれたから、大丈夫」
ありがとう、なずなーー!
おまけに心配までしてくれて……優しすぎるよあなた。
その一言に、あたしの心は大いに救われる。
「そ、そう言うことや。もうこれ以上変なんに絡まれへんために、俺がコイツについとったったってわけや」
「へー。意外といいとこあんじゃん」
「“意外と”は余計じゃ」
憐くんの発言に、怜佑は瞬時につっこんだ。
「ん? でも抱きつく必要な――」
「あー! もう、こんな時間! 最後にスライダー乗りたいなー」
物わかりの悪い1人の言葉を遮るように、あたしは咄嗟に叫ぶ。
こうして、この中で唯一高所恐怖症の怜佑は除き、あたし達は最後としてウォータースライダーに乗ることにしたのだった。