転校生は憧れの人
「どうしたの? ニヤニヤして」
「え!?」
問い掛けられて、我に返る。
「し、してないよ!」
……いや、してたのかもしれないけど。
うぅ。めちゃくちゃ恥ずかしい。
「ふーん」
いつもみたいにそう言う彼の表情を、今は恥ずかしすぎて見ることが出来なかった。
「あ、滝川くんと梓ちゃんだ」
数分後、駅前で待つ2人を確認し、私は大きく手を振る。
すると彼等は私達に気付いたらしく、笑顔で手を振り返してくれた。
「吉野くんは、まだ来てないみたいだね」
集合場所に付くなり、私は訊ねる。
いつもなら吉野くんは一番に来て皆を待ってる筈なのに、珍しい。
そう思っていると。
「それがな……」
滝川くんは眉を歪ませ、口を開いた。