転校生は憧れの人
――……
「れーすけ、乗ろ!」
「は? 何で俺がお前の隣に乗らなあかんねん」
「なっ!? いーから乗りなさいよ、この唐変木!」
遂にまわってきた順番。
梓ちゃんは滝川くんを半強制的に押し込め、隣に座る。
そして、私を見たかと思うと、ピースをしてみせた。
「梓ちゃん……?」
一瞬、何のサインかわからなかった。
だけど。
……まさか。
梓ちゃん、私を憐くんの隣にさせようとしてくれたのかな。
私の推測に過ぎないけど、その優しさに嬉しくなった私は梓ちゃんに感謝を込めてピースを返した。
「一ノ瀬」
「はい!」
「……声でかすぎ」
だって、突然呼ばれてびっくりしたから。
憐くんは私に「早く乗らないの」と言いたかったみたいで、私は急いで席に着いた。