転校生は憧れの人
「れ、怜佑ぇ……戻ろうよ~」
梓ちゃんはそうやって言い、滝川くんの服の裾をぎゅっと握り締める。
暗がりでよく見えないけど、梓ちゃんは少し震えているように感じた。
「アホか、さっき入ったばっかやろ!? つーか、お前が行きたい言い出したんちゃうん」
「……そうだけど、怖いんだもん」
「梓……」
いつになく弱気な梓ちゃん。
そんな彼女に滝川くんはフッと笑い、
「……大丈夫やって。何かあったら、俺が助けたるから」
そう、頭を軽くポンっと叩く。
……やっぱり。
なんだかんだ言っても、2人はホント仲良いな。
2人の関係を羨ましく感じると同時に、嬉しいな、なんて思ってしまった。