転校生は憧れの人
と言うか。
「な、何か長くない?」
いくら歩いても見えないゴール地点に怖くなった私は、ポツリと呟く。
「一ノ瀬の気のせいだと思うけど」
「そっ……きゃあ!」
その時、突然私達の目の前に血を流した長い髪の女の人の幽霊が現れた。
咄嗟に叫んでいた私は何が何だかよくわからず、ただ怖くて目を瞑る。
「一ノ瀬、もう行った」
「へ?」
「大丈夫?」
ゆっくりと瞼を開ける。
と同時に、全てを悟った。
身体中に感じる、暖かい温もり。
甘くて、いっぱいに広がる優しい香。
加速して煩い私の心臓。
私の両腕は、明らかに憐くんを抱き締めていて――。
って!
「うわぁ、ご、ごめんなさい!」
急いで腕を解き、私は必死に謝った。