転校生は憧れの人
「それより、一ノ瀬ってこういうの苦手なの?」
「え?」
不意な問いかけに、一瞬答えを出すのを忘れる。
恐怖に耐えながら順路を歩くのだけで、どうやら私は精一杯なようだ。
「まあ、得意そうには見えないけど」
「うぅ」
完全に見透かされてるよ。
遊園地のお化け屋敷には、いつも怖いもの見たさの精神で入っちゃうんだけど……実際はかなり怖いんだよね。
「持ってれば?」
「へ」
「腕。怖いんでしょ」
……う、で?
私は思考回路を最大限に回転させて考える。