転校生は憧れの人



「もうすぐだね」



観覧車の前に出来た長い列に並ぶこと、およそ10分。


私達は、乗り場まで後少しというところまで足を進めていた。



「ん? 何かプラカードみたいなんでとんぞ」


「プラカード?」



私たちの中で一番背が高い滝川くんは、遠くを見てそう言った。



「何て書いてあんのよ」


「えーとなぁ……本日は強風のため、定員を2名様とさせていただきます。やって」


「えー! それじゃあ、皆で乗れないってこと!?」



滝川くんの言葉を聞くなり、梓ちゃんは残念そうに声を洩らす。


……皆で乗りたかったのになあ。


私も残念に思って肩を落とした、その瞬間。





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