転校生は憧れの人
「待てや一ノ瀬。よう考えてみ? 男2人で仲良く個室の観覧車に乗り込むとか、どう考えてもキモすぎるやろ」
「確かに」
「え、あ、梓ちゃん! そそ、そんなことないよ滝川くん」
やめてー!
私の作戦を阻むまさかの意見に、私は焦ってフォローを入れる。
「俺は別にどっちでもい――」
「ってことやから、男女別でじゃんけんでもして分かれよか」
そうして私達は、半強制的に滝川くんの意見に基づいて二手に分かれることになった。
その結果。
グーを出した憐くんと梓ちゃん、パーを出した滝川くんと私、という組み合わせとなった。
憐くんとなれなくてちょっぴり残念なような、でも安心したような。そんな変な感覚に捕らわれる。
「あ゛」
あと二組乗れば私達の番、という時だった。
突然、何かばつの悪そうな低い声が小さく響いた。