恋のレシピの作り方
「私は、それがアルページュのためになるならと思って、彼の気持ちを見て見ぬふりをし続けた」


「一条さんの気持ち?」


「何があっても、彼が戻るべき場所はキッチンなんです、テレビでもない雑誌でもない彼はシェフですから、司もそれを望んでいたはずなのに……」


 奈央は初めて羽村の懊悩を知った気がした。アルページュを、一条をシェフとして支える傍ら、己の役目との狭間で揺れていたに違いない。
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