恋のレシピの作り方
「でも破棄するには条件があるわ」

「条件……?」

 麗華がわざとらしくMOを奈央にちらつかせて言った。


「あなたが今すぐアルページュを辞めることね」


「え……?」


 ―――何を言っているのかわからない。


(ダメ、しっかりしないと……!)


 奈央は混濁していく頭に喝を入れて、踏みしめる足に力を込めた。長身の麗華が嘲笑いながら見下している。奈央は手のひらに指を食い込ませて、麗華が出してきた条件に自分はどうするべきか考えを巡らせた。



 ここで引けば一条のデータはヴェルテに渡らずに済む。


 ―――自分の身を犠牲することであの人が救えるなら……。


 けれど、自分の夢も一条に託した夢も中途半端で諦めるわけにもいかない。



 その時、奈央の頭に選択肢が浮かぶ。



(私の選択で一条さんが幸せに、シェフらしく生きられるなら……私の選ぶ道は……)
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