恋のレシピの作り方
 厨房での仕事は、今では男女比がさほどなくなってきてるとはいえ、やはり力仕事だ。
 
 そしてイコール男性の仕事という風潮はまだ根強く残っているのが現状だった。


「俺はここの責任者、一条だ。女ねぇ……お前ウェイトレス希望じゃなかったっけ?」

「司……いえ、一条シェフ、いきなり初対面で失礼ですよ?」

 
 羽村が一条を咎めると、ふん、と鼻を鳴らして奈央を見下ろした。



(なんか、この人も綺麗な顔してるんだな)


 見下されているというのに、近くで一条の顔を見るなりそう思ってしまった。
 その時、羽村が一条にさっと従業員の詳細資料を手渡した。


「シェフ歴七年ね、基本的な事はわかってると思っていいんだな?」

 
「はい」

「まぁ、女だからって贔屓はしないからそのつもりで」

 そういうと一条は、羽村に後は任せたと言わんばかりに向こうへ行ってしまった。
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